ストイック

いっやー。凄いものをみたよ。

LIQUIDROOM 5th ANNIVERSARY


【出演】Y.Sunahara/rei harakami/ASA-CHANG&巡礼/ agraph

エレクトロニック・ミュージックの創造性が燦然と輝く、魔法の一夜――

この夏、ひとつの特別な夜が生まれる。

この国のエレクトロニック・ミュージックにおいて一際眩い星たちによる、もう2度とは起こりえないであろう貴重な共演だ。それぞれに、その独創性と美しさ、深い情熱によって多くの人々の心を揺り動かし、そして輝かしい実りを残してきた。まさにリキッドルームの祝祭にふさわしい、素晴らしいアーティストが集まった。
この4組は、この国のエレクトロニック・ミュージックに新しい価値を与え、可能性を広げ、その最良の成果を響かせてきた。かつてなくエレクトロニック・ミュージックが広がり、作品も溢れている現在。もしあなたが、体よりも心を躍らせる、創造性が見事な花を咲かせる音楽を欲しているなら、その魔法のような体験を求めているなら、この日それを体験するべきだ

最近は特に身体で感じて身体が喜ぶ音楽をよく聞く様になっていたのですが、
今回は心も脳(一緒?)も身体もじんわり感じながら最高に高揚と興奮をしていました。こんなに静かにぐわーと内から興奮を覚えたのは久しぶり。


agraph
電気グルーヴや卓球さんでサポートしていたんだって。
まるっきり初見で、最初は斜めに引いてみていたのに終わる頃には前のめりになっていました。
レイさんの様に卓で機材をいじくりながらライブで音を出していくスタイル。音もレイさんの出す音っぽいポワンポワンしたエレクトロニカ。レイさんの音にピアノの音なんかを織り交ぜてちょっとハウス寄りにした感じ。
音をどんどん重ねて重ねて盛り上げて盛り上げてーーーっ すとん、と落とすっていうのがかっこよかったです。

ASA-CHANG&巡礼
「花」しか曲は知らなかったのですが、こんなにも実験的な音楽だってのは予想以上でした。
花でも声をつぎはぎにして「花が咲いたよ」という言葉もつぎはぎにして、パーカッションとタブラのリズムが音とともに言葉となってメロディとなって終いには波動になりながら一つの塊になる。

「花」と似たタイプの曲「影のない人」よかったです。
この独特の雰囲気を全く引きずらない、アサチャンさんのからっとしたMCも最高によかったです。お客のヤジに「うるせぇ笑」とか言っちゃった直後に「ごめんなさいね〜」とえへら〜とする感じ和みました。さすがのMC係だ。


rei harakam
今回客席の右側最前スピ−カーの前で見てたのですが、低音が胸にびりびり響くんだ。
音のバランスが気持ち悪くなっちゃいそうだったら真ん中に移動しようと思っていたんだけど、レイさんの心地よい音の中でたまにくる低音のぐわんという音圧がくせになってしまって結局ずっとそこを動けませんでしたよ。
ハラカミさんの音ってなんなんだろうな。魂を空間に漂わせてくれるあの手法。

でもそんなはらかみさんは曲が終わると「ブチっ」って音切って「はいっありがとうございますー」ってすぐに世界を切り替えるんですよね。強制的に私たちの漂いを現実に引き戻しちゃう。しゃべりだすと途端に現実的になるただのおじちゃんなはらかみさんが頼もしいです。音楽とのギャップー。

そんなハラカミさんが「いっつも代わり映えのない音楽ばかりやっているので今日はちょっと変わったことをしてみたいと思います」
といってASA-CHANGU-zhaanを招き入れ、あさちゃんボーカルの新生ヤノカミ美空ひばりの「愛燦々」を急遽コラボしてくれました。
れいさんが「急に思いついちゃった」らしく今日初めて3人で合わせたみたいで、案の定ちょいとバラバラ。
あさちゃんVoのヘタウマさ加減に曲の合わなさ加減にれいさん爆笑。
お客さんも大爆笑。
なんでこの選曲ー。れいさんの思いつきの意図がわからんー
そんなちょいスペシャルもありつつしっかり「joy」もやってくれました。やっぱたまらないわ。私はこれで1年生きていけます。



Y.Sunahara
そしてお待ちかねのまりんの登場です。お客さんみんな待ってたんだな。
れいさんの「皆の今日の注目は本当に砂原さんがステージに現れるのかっていうところですよね。」
という台詞にお客さんが大笑いしながら「そうそう」ってなってて、やっぱりそういう共通認識なんだなーて実感しました。
そりゃそうですよね。あのまりんがまさかまたライブをしてくれるなんてそんな希望も薄れかけていましたもんね。
そんなまりんは6.7年ぶりにしっかりステージに立っていましたよ。
とかいいながら私は初めてのまりんだったので、最初ステージに出てきた時に
本当にまりんは存在していたぞー!という所に喜びが・・(泣)思った通り細くて小さいのですね。シルエットは中学生みたいなんですね。*1

オープニングの音がなる薄暗い照明の中まりんがサポーターの方と登場。一切MCなしの*2シンプルにストイックな内容でした。曲もLOVEBEATから4曲。Sound of 70'sから2曲とあとは新曲かな?基本的には昔の曲を中心に。
それにしたってなんなのこの洗練された音。洗練といっても都会的ていうニュアンスって事だけじゃなくて、何度も何度も磨かれて濾過されて、余計なものを一切排除した形。そんな音楽なんだなって改めて感じた。
下向いてリズム取りながら機材触ったり、キーボード弾くまりんをみて「ストイック」っていう言葉をまりんの横に思わず置きながらみていましたよ。職人。惚れてまうわー。
本当意識のとてもある音楽。聞いてると体も気持ちよくなって心もドキドキしてきて心の底からぐわんっと大きな塊が何度も何度もこみ上げてきました。
ほんと観れて良かった。
最後の終わり方もまた格好良かった。
最後の曲の音が鳴り響く中、自分の最後の作業を終えたまりんがきびすを返してさっと袖に帰っていくんだよね。始まりも終わりもスッと入ってスッといなくなっていく。それがまたまりんの現実味のない存在感を強調してました。
しかし現実のまりんは、アンコールを求めるお客さんの声に
「ごめんなさい。アンコールないんです」って謝りにきたらしい。きゃわゆい。
私はその後約束があって会場を後にしていたのでそんなまりんは目撃出来なかったけど、わたしにとってはあの現実味のない感じのまりんの方を記憶に留めておきたいと思います。

今回確実にまりんは動き出していることが目に見えて感じることが出来て、作品も来年くらいには出してくれるんだろうなという希望が確信に変わりました。
砂原良徳という人はきっと自分の音楽に対する姿勢や音に対するイメージをとても純粋なまま保ち続けることが出来るとても貴重な人で、そのストイックさ故に音楽活動もスローだったり、リリースと言う形に結びつかないということもあるのだと思います。
だからこそその純度が薄まらないままで音を生み出してくれたら、リスナーとしてこれほど嬉しいことはありません。


まってるよー。

*1:うれしい

*2:あたりまえか